先週、とても興味深い研究結果が報告されました。
コーヒー、紅茶、緑茶を飲む習慣が脳卒中のリスクをかなり低下させるそうです。
一昔前はコーヒーは健康を害する飲み物というイメージをもたれていました。しかし、近年、糖尿病の予防効果が報告されるなど、むしろ健康に良い飲み物へとイメージチェンジしつつあります。
1日に2~3杯のコーヒーを飲むことで、ほとんど飲まない人と比べて、脳卒中のリスクが2割減少、週に5~7杯でもリスクは12パーセント低下する結果が出ています。カフェイン抜きコーヒーでもこの脳卒中の予防効果はみられました。
「コーヒー内に含まれているポリフェノール類が作用している模様」
また、毎日6杯以上のコーヒーを飲む人々は、1日に1~2杯のコーヒーを飲む人々と比べて、一過性脳虚血発作(TIA)か脳卒中を起こすリスクが約 4割も低下することがわかりました。さらに、コーヒーを飲む習慣には、脳卒中のリスクの低下につながる血管の保護効果もあることが明らかになりました。
一過性脳虚血発作は、ミニ脳卒中とも呼ばれ、実際に小さい脳卒中がおきて、「視野の半分が見えなくなる半盲、どちらか半身のしびれや脱力、ろれつが回ら ない」などの脳卒中の症状がでますが、数分から数時間あるいは1日程度で消えるものです。一過性脳虚血発作をおこした人は将来、大きい脳卒中をおこすリス クがかなり高くなることがわかっています。
どちらの研究者も、「コーヒーを飲む量が増えるほど、脳卒中のリスクが低下するようだ」と語っています。
脳卒中は、死に至るケースも少なくないことに加えて、幸い助かったとしても多くの場合で障害が残ります。このため、予防が大切になります。
コーヒーだけでなく、緑茶や紅茶を飲む習慣も脳卒中のリスクを低下させるという研究結果もあります。
この研究は、4378人の脳卒中の患者を含む19万4965人のデータを分析しています。やはり米国脳卒中協会の会合で発表されました。
お茶を1日に3 杯飲む人は、ほとんど飲まない人とくらべて、脳卒中のリスクが 21 パーセント減少することがわかりました。「お茶が緑茶であるか紅茶であるかは、重要ではなかった」と、この研究を行なったカリフォルニア大学ロサンゼルス 校医学部のレノール・アラブ教授は述べています。ただし、「いわゆるハーブティーには脳卒中を予防する効果は見られなかった」と付け加えています。
この研究でも、お茶の摂取量が増加するのに比例して脳卒中のリスクが低下することがわかりました。アラブ教授は、「お茶を6杯飲む人は効果が2倍になって 脳卒中のリスクが42パーセント低下するでしょう」と説明しています。この効果は、お茶に含まれるカテキンの一種か、アミノ酸のテアニンによるのではない か、と教授は考えています。
コーヒーのアロマ(芳香)や、お茶のテアニンには、精神を安定させるリラックス効果があることもわかっています。記憶力など脳の認知機能の低下を予防する 作用もコーヒーやお茶にはあります。
一杯のコーヒーやお茶を味わうホッとできる一時が、ココロとカラダ の健康維持につながる興味深い記事でした。